小中学校を通して成績優秀者を表彰
明治32年(1899年)の発足以来、関西丹波市郷友会は後進の育成のため、数多くの支援事業を行ってきました。会員の寄附金を基金として、その利息で毎年援助を行ってきました。
とりわけ昭和9年(1934年)には、優等生表彰のためとして、氷上郡(現丹波市)教育行政に対して百円(消費者物価指数をもとにすれば、現在の貨幣価値で約20万円)を寄附、翌年度には郡内小学校最優良卒業児童として106名に対し、卒業式当日に表彰状と三省堂発行の「国漢文辞典」が授与されました。
当時氷上郡内に小学校は27校あり、うち沼貫と大路には分校があったので、それぞれの尋常科男女1名ずつで58名、また高等科男女1名ずつ50名(分校には高等科は無かった)が対象でした。当時の小学校は8年制で、6年が尋常科、2年が高等科でした。昭和15年(1940年)からは柏原中学2名柏原女学校3名も対象となりました(当時これらの高等中学校は5年制)。
この表彰は戦後の教育改革で6・3・3制に移行する昭和22年(1947年)まで13年間続きました。その後は戦後のインフレもあり会の募金が消滅しましたが、当時の会長・副会長の個人寄付で、生徒表彰は昭和31年(1956年)卒業生まで氷上郡内小・中・高生を対象に続けられ、昭和10年度卒業生以降、表彰を受けた生徒の数は2,000名にのぼります。
後進育成のための基金を設立
昭和59年(1984年)には「後進育成のための賛助基金」が創設され、賛同者56名からの1,113万円の基金をもとに、しばらく途絶えていた後進育成事業が再開されました
初年度は氷上郡小、中学生絵画優秀作64名表彰、カレンダーに印刷して寄贈。柏原ボーイスカウトに野外用テントを寄贈しました。
翌昭和60年(1985年)には氷上郡青少年体育競技に優勝旗5旗、準優勝カップ5個を贈呈。柏原ボーイスカウトには大太鼓2個と小太鼓10個を贈呈しました。
昭和61年は、氷上軍少年少女合唱団にポータブルトーン3台、ベレー帽200個を寄贈、柏原ボーイスカウトにはトランペット8個、ティナ―ドラム2個が寄贈されました。
この年の総会では、会費(3,000円)のうち1,000円を奉仕活動に振り向ける議案が可決されました。基金への賛助金募集も引き続き行われており、この年の基金残高は2,530万円と報告されています。
続く昭和62年(1987年)は、氷上郡内7中学校の体育競技5種目に優勝旗7旗を贈呈。また、氷上郡内小学6年生に「私達の町」「僕達の町」と題した作文を募集、優秀作29名に賞状及び記念品(辞書)を贈呈しました。
昭和63年(1988年)、氷上郡内小学校のバスケットボール協会に優勝旗と準優勝カップを贈呈。柏原ボーイスカウトには太鼓とシンバルを寄贈しました。
長年の青少年奉仕に対してのじぎく賞
平成に入った後も、基金を活用した青少年奉仕活動は続きます。
平成元年(1989年)11月に行われた90周年を祝う総会では、氷上群少年少女合唱団の来演を仰ぎました。同合唱団には制服70着を寄贈、また、記念事業として自由課題で書道優秀作品を求め、330名の応募の中から、入選者30名に墨と表彰状を贈呈しました。
その後も、合唱団や柏原ボーイスカウトへの支援、各種スポーツ団体への支援は継続。
平成3年(1991年)には小中学生から「丹波の四季」と題する俳句を募集、670名の応募から入選30名に表彰状と図書券(5,000円)を、応募者全員に図書券500円を贈りました。
平成5年(1993年)は小学6年生及び中学生から「ふるさと丹波の絵画」と題して募集、155名の応募から会長賞2名、優秀賞2名、佳作16名を入選として表彰状と賞品を贈りました。
平成6年(1994年)には全国野球大会に出場する柏原中学校野球部に出場援助、平成7年(1997年)には郡内青少年スポーツ優秀者表彰を行うなど、その他の奉仕活動を実施してきました。この頃の基金残高は3,600万円まで伸びています。
なお、平成7年(1995年)には、長年の「青少年への援助育成の功労」に対して、兵庫県知事より「のじぎく賞」をいただいています。
周年事業における青少年奉仕
関西丹波市郷友会による後進育成は、各種スポーツ団体への優勝旗贈呈や丹波市少年少女合唱団への支援など、その後も続きます。とりわけ、周年事業においては特別に奉仕活動を行ってきました。
平成10年(1998年)の創設100周年には、青少年の育成に貢献する氷上郡内のグループを対象に賞金総額310万円の「人づくり大賞」コンクールを実施。応募33団体から入賞13団体を表彰、大賞(賞金80万円)に「国際葛グリーン作戦山南」、準大賞(同50万円)に「氷上町東地区国際交流協会」が輝きました。
平成21年(2009年)の110周年では、氷ノ川子ども太鼓「鼓輝」、遠阪少女バレーボールクラブなど表彰数を例年より増やし(6団体、3個人)、記念事業としました。 さらに令和元年(2019年)の120周年では、記念事業として「輝こう丹波っ子 丹波すくすく大賞」を実施。個人の部4名、団体の部25団体から応募があり、丹波すくすく大賞(賞金30万円)に「新丹波猿楽座」、輝こう丹波っ子大賞(賞金15万円)に「東小学校鼓笛隊」「丹波ベリーエース(小学生女子野球チーム)」、会長特別賞(賞金10万円)に「甲賀流氷ノ川太鼓振興会・鼓輝」「丹波沼貫よさこいチーム一心貫」「丹波と金会」を選出。その他入賞(賞金5万円)として5団体4名を表彰しました。
【参考資料】
- 「関西氷上郷友会 創立100周年記念号」(余田貞雄編纂)
- 「錚々たるリーダーの下に 関西丹波市郷友会117年の歩み」(小田晋作、会報「たんば」第1号掲載)
- 会報「たんば」第4号、5号事業報告